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エルダー博士のMACDダイバージェンスを取り入れた手法の検証、第3回になります。今回はこれまでの検証で見えた穴を塞ぐことを目的として、改良ルールで検証を行います。
MACDダイバージェンスに関する書籍はコチラ
第一回 : 【エルダー博士】 MACDダイバージェンス手法の検証その1 第二回 : 【エルダー博士】 MACDダイバージェンス手法の検証その2
結論から書くと、それなりに結果の良化が見られました。しかし、一部負けを誘発するエントリーを発見したため、次回はその部分の改良をするべしという新たな課題も見つかったり…。
検証ルールと結果更新
条件・エントリー・利食い・損切りルール
ざっくり言えば、MTF化して精度向上 & エントリーチャンス取りこぼしを防ぐルール追加、と言ったところです。
※注意事項
電子書籍に、『エルダー博士のダイバージェンストレード』では、MACDヒストグラムを使用することが書かれていますが、ここではMT4標準のMACDを使用しています。スマートフォンでトレードを完結させるため、AndroidおよびiOSのMT4アプリで使用することを想定して試験をしております。ご了承のほどお願いします。
※1/9追記
MACD2などの名称ではありませんが、MT4標準インジケータのMoving Average of Oscillator がMACDヒストグラムに相当するのに気付いていなかったため、延々と標準MACDで先に検証してました…。第4回以降、Moving Average of Oscillatorを使用して、本来使用されるべきMACDヒストグラムによる検証を進めていきます。
条件
- 通貨ペア … ポンド円
- 時間足 … 4時間足
- 上位時間足 … 日足
- 1トレードのロット … 10000通貨
- スタート資金 … 10000USD
エントリー
- ショートエントリー (A-0.上位時間に反する反転狙い)
- 日足MACDがプラス圏 & MACD>シグナル または 日足MACDがマイナス圏 & MACD>シグナル
- 4時間足で弱気ダイバージェンス確認後、MACDの山が下りに転じる
- ショートエントリー (A-1.安全な反転狙い)
- 日足MACDがプラス圏 & シグナル>MACD または 日足MACDがマイナス圏 & MACD>シグナル
- 4時間足で弱気ダイバージェンス確認後、MACDの山が下りに転じる
- ショートエントリー (A-2.トレンド継続狙い)
- 日足MACDがプラス圏 & シグナル>MACD または 日足MACDがマイナス圏 & シグナル>MACD
- 日足MACDの勢い低下・高値更新しない or 日足ローソク足が高値更新しない
- 4時間足でMACDの山が下りに転じる
- ショートエントリー (B-1.上位足の反転狙い)
- 日足MACDで弱気ダイバージェンス発生
- 4時間足でMACDの山が下りに転じる(シグナル>MACD)
- ロングエントリー (A-0.上位時間に反する反転狙い)
- 日足MACDがマイナス圏 & シグナル>MACD または 日足MACDがプラス圏 & シグナル>MACD
- 4時間足で弱気ダイバージェンス確認後、MACDの山が下りに転じる
- ロングエントリー (A-1.安全な反転狙い)
- 日足MACDがプラス圏 & MACD>シグナル または 日足MACDがマイナス圏 & MACD>シグナル
- 4時間足で強気ダイバージェンス確認後、MACDの山が上りに転じる
- ロングエントリー (A-2.トレンド継続狙い)
- 日足MACDがマイナス圏 & シグナル>MACD または 日足MACDがプラス圏 & シグナル>MACD
- 日足MACDの勢い低下・安値更新しない or 日足ローソク足が安値更新しない
- 4時間足で強気ダイバージェンス確認後、MACDの山が上りに転じる
- ロングエントリー (B-1.上位足の反転狙い)
- 日足MACDで強気ダイバージェンス発生
- 4時間足でMACDの山が上りに転じる(MACD>シグナル)
利食い
- ショートポジション : 直近の安値近くのローソク足終値または1~2回前の高値のローソク足終値付近(サポートラインになりそうな目立つ高値)
- ロングポジション : 直近の高値近くのローソク足終値または1~2回前の安値のローソク足終値付近(サポートラインになりそうな目立つ高値)
- 日足と逆方向のポジションは4時間足レベルの直近のサポレジで。
- 日足ダイバージェンスに乗ってエントリーする場合は、利食い・損切りは日足レベルのサポレジを使用して広めに取る。
損切り
- ショートポジション : 通常のダイバージェンスの場合はエントリー時点の高値の少し上まで上昇したら損切り。ヒドゥンダイバージェンスの場合、エントリー時点の高値より手前のヒドゥン起点になる高値 or エントリー時点の高値(価格差が100pips以上あったりしたら後者を使用)
- ロングポジション : 通常のダイバージェンスの場合はエントリー時点の安値の少し下まで下降したら損切り。ヒドゥンダイバージェンスの場合、エントリー時点の安値より手前のヒドゥン起点になる安値 or エントリー時点の安値(価格差が100pips以上あったりしたら後者を使用)
結果
- 試行回数 … 57回
- 勝ちトレード…41回
- 負けトレード…16回
- 最大連勝回数…11回
- 最大連敗回数…3回
- 通貨ペア … ポンド円
- 時間足 … 4時間足(メイン)/日足(上位)
- ロット … 1万通貨固定
- 時期 … 2001年3月~2002年7月11日
- 開始時資金 … 10000 USD
- 終了時資金 … 17869 USD
- Profit Factor … 4.32
- 一日あたりトレード回数 … 0.10
振り返りと新たな課題
いくつかの負けパターンはある程度克服できてきましたが、完全に排除することはもちろんできませんでした。
負けパターン1. 日足と逆方向のダイバージェンス
利食いを控えめにすることで勝率up。とは言えRR比が0.7未満になったりするのでエントリー自体見送るのもありかも。
負けパターン2. 4時間足MACDダイバージェンスで複数の山にぶつかる場合
例) 弱気ダイバージェンス発生 → ショートエントリー → 価格が強気トレンド方向に戻り損切り → 再度弱気ダイバージェンス発生 → ショートエントリー → 大きく下落
このパターンの負けは今回のルールではフィルタできませんでした。今回の負けのいくつかもこのパターンによるものです。
※ 『エルダー博士のダイバージェンストレード』 で紹介されている、「トリプルダイバージェンス」に相当します。
改良が必要なエントリー1. 「トレンド継続狙い」
MACDの山の方向転換を待つとかなり遅れてエントリーすることになったり、レンジに巻き込まれて延々と待つことになるため、ブレイクアウト~プルバック狙いのプライスアクショントレード的な判断基準を入れた方が良いのかも。段々エルダー博士の手法から外れて来ますがね…。
更なる改良を目指して
恐れ多い表現ですが、長年支持される『投資苑』の著者だけあって流石というべきか、MACDダイバージェンスとMTFでここまで取れるようになるのかー、という感じです。人それぞれ好みもあるので、もちろん万人向け手法ではないですが、改良と検証を重ねればかなり使えますね。
また、利食いを伸ばすのにフィボナッチエキスパンションを入れてみたり、反転の基準にハーモニックパターンを加味すると更に良さそうですが、ルールの複雑化を招くためやや躊躇しているところ。
MACDトレード用の便利ツール紹介(1/14追記)
MACDダイバージェンスを自動描画してくれる無料インジケータ
ライン(EMA)表示バージョン FX5_MACD_Divergence_V1[1].1.mq4 [表示]
ヒストグラム(MT4標準)表示バージョン FX5_MACD_MetaTrader.mq4 [表示]
※いずれも「ダイバージェンス候補」の表示です。EMAの山谷やヒストグラムの頂点の確定前の状態の、ダイバージェンスの可能性あり、の段階で表示されます。
MACDヒストグラムダイバージェンスを自動描画してくれる無料インジケータ
こちらはMACDヒストグラム(OsMA)ダイバージェンスを素直に表示
何かを修正しているようですが、ヒストグラムの山の高さなどが微妙に異なります。精度はこちらが上か。
MT4のMACD、各種ダイバージェンス自動描画インジケータ、OsMAを一画面に表示してみました。Correctは何を「修正」してるんでしょうか…。今度調べてみます。
MACDウォッチャ
MACDとSignalのクロスやSignalとゼロラインのクロスを監視、各種条件を設定してクロスしたらメールでアラートを飛ばしてくれるツールです。忙しい方はこうした自動化ツールを活用するのも手です。
MT4 MACD ウォッチャ
WatcherMACD
MACDによるトレンドが出ている通貨ペアを効率よくサーチできるMT4インジケータ。MTF(マルチタイムフレーム)で方向がそろっている通貨ペアを一目で見つけられます。ひとつひとつチャートを開いて物色する手間も省けますね。
WatcherMACD画面イメージ