移動平均線のみを使用するシンプルで初心者向けとしても扱いやすそうな12氏のトレード手法の紹介記事を昨日公開しました。そんな12手法の効果のほどをでデモトレードをやって測定してみました。その結果、見えてきた傾向や改善した方が良さそうな点をいくつか見つけたため、それについて書いていきたいと思います。
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先に結論から書いてしまいますが、12手法は慣れれば大きく負けることもなく、取れるところだけを取りに行く点でとても優秀な手法になるポテンシャルを秘めています。ただし、欲深にエントリーすると連敗するリスクも大きいです。きちんとルールを定めたうえで運用するのが肝要ですね。
12手法を検証!効果のほどは?
12手法検証トレードルール
- 使用するインジケータ … 35SMA、50EMA、10EMA
- 時間足 … 15分足
- 通貨ペア … ポンドドル、10,000ドルスタート
- ロット … 2万通貨
- エントリールール … 35SMA, 50EMAが密着するか絡み合って一方向に価格が進んでいるときに、価格が10EMA内に入ってきたところで指値または成行エントリー
- 利食い … 15pips固定 (動きが悪かったら10pips程度で手動利食い)
- 損切り … 15pips固定
12手法、検証結果
- 勝ちトレード回数 … 29回
- 負けトレード回数 … 11回
- 勝率 … 72%
- 平均利益 … 29.74ドル
- 平均損失 … 30ドル
- 総利益 … 532.58ドル (利益862.54ドル、損失329.96ドル)
40回程度のトレードですが、思いの外勝ちを積み重ねられました。試行回数が少ないため参考程度ですが、PF (プロフィットファクター) は2.6程度と良い値になっています。とにかくエントリーの時に淡々と指値で利確と損切りを入れてしまい、あとは値動きに任せてしまいました。ネットに転がっている手法としてはかなり優秀なものだと思います。
12手法改、検証トレードルール
- 使用するインジケータ … 35SMA、50EMA、10EMA
- 時間足 … 15分足
- 通貨ペア … ポンドドル、10,000ドルスタート
- ロット … 2万通貨
- エントリールール … 35SMA, 50EMAが密着するか絡み合って一方向に価格が進んでいるときに、価格が10EMA内に入ってきたところで指値または成行エントリー
- 利食い … 一部15pips~30程度固定、一部をサポレジ近くまで引っ張るか、50pips固定指値で利を伸ばして利食い
- 損切り … 35SMA、50EMAの作るゾーンを抜けた数pips先
12手法改、検証結果
- 勝ちトレード回数 … 28回
- 負けトレード回数 … 7回
- 勝率 … 80%
- 平均利益 … 66ドル
- 平均損失 … 54ドル
- 総利益 … 1487.66ドル (利益1866.66ドル、損失379ドル)
かなり改善されました。何度か分割エントリーで利食いしているため勝率が水増しされており、実際は70%強ぐらいの勝率です。PFは4を超えていましたが、流石に試行回数が少ないため当てになりません。1,000回以上試行すれば2.0強ぐらいまで落ちてくるかと思います。
傾向と対策
勝率とエントリーチャンス
勝率を上げていきたい場合、(主観が入りますが) 緩やかな上昇・下降トレンドの時は手を出さない方が良さそうです。トレンドが緩やかなときは、トレンドの強さに比べて押し戻りの幅もやや大きくなり、10~15pips固定幅だろうが35SMA・50EMAの帯だろうが抜けてくることが多いです。
12氏が推奨する様な、直滑降のような強いトレンドであれば10EMAにタッチするぐらいの押し戻りで15pips固定損切り幅でも勝てるケースが多いように見受けられました。ただしこの様な強いトレンドは出てくる回数は多くありません。勝率を高められる代わりにエントリーチャンスも減少します。
まずは強いトレンドのときのみのパターンで練習するのが良いと思います。緩めのトレンドを取りに行くときは損切り幅を大きめに取ってエントリー枚数を減らしたり、10EMAを終値である程度超えたときだけエントリーする、などの工夫が必要になります。のべつまくなしに同じルールでエントリーしても負けが込む原因になります。
強いトレンドが失速しかかった時のエントリー
トレンドが勢いを削がれてくると、強いトレンドの押し戻りを取るつもりでエントリーしても、思ったよりもトレンドが進まずその前に損切りに引っかかることが多々あります。だいたいこういうときはオシレータのダイバージェンスが発生しています。こうした突っ込み過ぎを避けるため、ダイバージェンスが発生している場合はこのトレード手法でのエントリーは避けた方が良いでしょう。
12手法の難点
移動平均線の傾きと開き具合からトレンドの強弱を読み取る、という点でしょうか。直滑降判定に10EMAも併せて見た方が良さそうですが判断基準が増えてしまいます。ともかく、この識別プロセスが個々人の裁量任せになってしまうため、慣れない内は垂直上昇・落下時の10EMAで反発したところだけエントリーするやり方でもいいかも。また、狙うべき局面を絞り込むべく、移動平均線の傾きを示すためのインジケータを入れてもいいかも知れません (傾きがこれより小さかったらエントリー見送り、という意味合いで)。
移動平均線の傾きを示すインジケータについては以下の記事で解説しています。